設立趣意

 法秩序の維持と治安の確保は社会が健全に発展していくための基盤です。日本の刑法認知件数は近年減少しているものの、依然として相当高い水準にあり、犯罪の手口は複雑・巧妙化し、また、凶悪な事件の発生は後を絶たず、いわゆる体感治安はますます悪化しております。
   犯罪対策としては、刑事司法、教育、経済等さまざまな領域からの取組が可能ですが、犯罪の発生全般を抑制するための対策は広範多岐にわたり、それらのすべてを実現していくことは容易ではありません。その中で、更生保護は、犯罪をした者に対して社会内で相応の処遇を行い改善更生を図ろうとするものであり、再犯を防ぐことによって犯罪を抑制し、治安を向上させる効果が相当に期待できる制度であると言えます。
   ところで、犯罪や非行をした者が社会の一員として更生するためには、就労の機会を得て正業に従事することが極めて重要であります。就労を続けることによって、経済的な自立が図られるほか、社会人としての責任感が備わり、対人関係の持ち方を学び、それらに伴って規範意識が養われ、ひいては犯罪の抑止につながるものと考えられます。
   現状においては、犯罪や非行をした者であることを承知した上で、善意の篤志家である協力雇用主が、雇用することによって犯罪や非行をした者の更生を助けています。
   しかし、職を求める犯罪や非行をした者に対して、協力雇用主の数及び業種は十分とは言えず、また、地域や周囲の理解と協力が欠ける中で、彼らの雇用を継続することは大変多くの苦労と困難を伴うものです。
   もとより、治安の確保による恩恵は社会全体にもたらされるものであり、犯罪や非行をした者の就労の確保についても、ごく一部の献身的な篤志家の負担に頼るのではなく、経済界全体の理解と協力によって支えられるべきものであると考えます。
   以上を踏まえ、犯罪や非行をした者の雇用に直接関与しない事業所においても、資金その他の面で協力し、各種の事業団体にあっては、傘下の事業所に犯罪や非行をした者の就労支援が重要であるとの考えを浸透させることに協力するものとし、それらによって協力雇用主の拡充及び助成を行う仕組を広島県内において構築する必要があると考え、本機構を設立しようとするものであります。
   安心して暮らせる社会、犯罪者を出さない社会を築くためには、国民一人ひとりの理解と協力が求められるところであり、治安の確保が社会発展の基盤であることを考えれば、企業としてそのために応分の協力をすることは企業の社会的責任を果たすことでもあります。
   本機構は、こうした認識の下に事業者の立場から犯罪者等の就労を支援して、その更生を助けることによって、犯罪の抑止を図り、もって、安全・安心な地域社会の発展に貢献することを目的としています。
   なお、本機構は、特定非営利活動促進法に基づく法人であり、法に定められた手続きに従って組織運営や情報公開を行い、社会的信用を高め、明確な責任のもとに充実した運営を行い、事業を遂行するものであります。

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